【冷静に検証】フジトミ証券のシストレセレクト365を使う前に知っておきたい“隠れリスク”

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「キャラで選べる」「放置でOK」「初心者でも簡単に」──
そんな言葉に惹かれて、フジトミ証券の自動売買FX「シストレセレクト365」を検討している方も多いかもしれません。

私自身、興味を持って調べていく中で、「えっ、こんな設計なの?」と感じるようなポイントがいくつか見つかりました。

本記事では、実際に運用する前の立場だからこそ見えてきた、2つの構造的なリスクについてご紹介します。

  • 推奨証拠金の設定が異常に高い理由
  • 成績ランキングの“見せ方”に潜むバイアス

派手な実績に目を奪われる前に、一度立ち止まってチェックしておきたいポイントです。

…本記事では、実際に運用する前の立場だからこそ見えてきた、2つの構造的なリスクについてご紹介します。

なお、シストレセレクト365を実際に申し込もうとして「途中でやめた理由」については、以下の記事で詳しく書いています👇
👉 【注意点あり】シストレセレクト365を試そうとして気づいた“見落としがちな盲点”

🔍 違和感①:推奨証拠金が異様に高い。

シストレセレクト365の特徴を調べていて、最も強い違和感を覚えたのが「システムトレードを始めるにはいくら必要?」のコラムでした。

一般的にFXや自動売買サービスでは、取引に必要な最低限の証拠金を示したうえで、「余裕資金を持って運用しましょう」といった注意喚起がされるのが普通です。ところが、このサービスではそもそも推奨証拠金が異常に高いのです。

■ 推奨証拠金=「最大ドローダウン」+「現在の建玉証拠金」

これはフジトミ証券の公式FAQに書かれている内容ですが、ここでいう「推奨証拠金」とは、以下のように定義されています:

■ 現在保有しているポジションに必要な証拠金

■ 過去にそのストラテジーが出した最大ドローダウン(損失)

つまり、「そのストラテジーが過去に一番負けた水準まで含めて、最初から用意しておけ」ということです。

これは冷静に考えるとかなり強引な設計です。

■ 3本選んだら150万円スタート?

シストレセレクト365では、基本的に3つのストラテジーを選んでポートフォリオを組むよう促されます。
1本あたりの推奨資金は約25万円〜50万円と言われており、3本だと合計で75万〜150万円が“推奨”されていることになります。

ここでの問題は、

  • 「初心者でも始めやすい」
  • 「自動で運用できる」

といったサービスの打ち出し方と、初期資金の水準がまったく噛み合っていないことです。

※以下の画像は、「システムトレードを始めるにはいくら必要?」のコラムより抜粋。

■ 本来の自動売買って、こうじゃなかった?

個人的なイメージですが、FXの自動売買というと、数万円〜数十万円の少額から始めて、徐々にリスクを取りながらストラテジーを見極めていく、というのが自然な使い方だと思います。

ところが、シストレセレクト365では、いきなり最大ドローダウンまで含めた“覚悟金額”を前提にされている。
それって本当に「初心者向け」なんでしょうか?

推奨証拠金の中に「最大負け幅」が含まれている時点で、それはもはや「このくらい負けても文句は言わないでくださいね」という念押しじゃない?

🔍 違和感②:ストラテジーが100個もあるのに、上位ランキングしか見せない

もうひとつの違和感は、戦略(ストラテジー)の見せ方です。
シストレセレクト365では、「キャラ付きの戦略ランキング」がサービスの目玉のひとつとなっており、たとえば「アカリちゃんが+131.71%!」のように、キャラと実績を結びつけて、どれを選ぶかを“なんとなく”で決められるようなUIになっています。

一見すると親しみやすく、初心者にもわかりやすい設計に見えますが──実はここにも、投資経験者であれば一発で気づく構造的なズレがあります。

■ 100個の戦略 × 通貨ペアは5種類──組み合わせで爆発的に増える

まず前提として、シストレセレクト365のストラテジー数は100種類にも及びます。
さらに運用できる通貨ペアは「米ドル/円」「ユーロ/円」「豪ドル/円」「英ポンド/円」「NZドル/円」の5種類の通貨ペアです。

ここで重要なのは、

「似たような通貨ペアを、異なるルール・ロジックで動かす戦略が何十通りも存在している」という点です。

つまり、100個のストラテジー × 5通貨ペアの掛け算構造で、バリエーションは爆発的に膨れ上がっている状態です。
これだけ数があれば、どれかが爆益になるのは確率的に当然とも言えます。

■ “たまたま勝った戦略”を毎月ピックアップ?

実際、ランキングで紹介されるのは、過去12か月に最も好成績を残した上位数名のキャラだけ。
でも、そのランキングの根拠となる「損益の推移」や「過去のランキング履歴」は、公開されていないようです。

しかも、フジトミ証券が公表しているマニュアルを見る限り、実際のストラテジー選択画面も「ランキング形式」そのままで構成されています。

つまり、“直近で成績が良かった戦略”をそのまま選ぶことが、ユーザーに推奨されているという構造です。

このようなUI設計では、利用者が過去の成績やドローダウン情報を吟味して判断する余地が少ないと感じざるを得ません。

■ これって「生存者バイアス」の典型では?

投資の世界には「生存者バイアス(survivorship bias)」という有名な落とし穴があります。

たとえば、500本の投資信託のうち、毎年パフォーマンスが良い上位5本だけを生き残らせて紹介していけば、「過去10年間すべてプラスのファンド」といった奇跡の存在が簡単に作れてしまうというものです。

シストレセレクト365のランキング表示も、それと構造がよく似ています。
「過去12か月で勝った人」だけを出して、「それっぽい説明」を添えれば、毎月新しい“勝者”が登場してしまうのです。

✅ まとめ:初心者に優しい“顔をした構造リスク”に注意

シストレセレクト365は、一見すると「キャラで選べる」「放置でOK」「自動売買だから初心者向け」といったキャッチーな要素が並びます。ですが、実際にその設計を詳しく見ていくと、初心者にとって本当に優しい構造になっているか?と問われれば、首をかしげざるを得ません。

資金面では「推奨証拠金150万円」というハードル

推奨証拠金が高額になる背景には、「最大ドローダウン」まで見越してお金を用意せよ、という発想があります。
ですが、これは“リスク管理”というより、むしろ「損失を許容する金額を最初に差し出せ」という仕組みに近く、少額から試しながら学びたいという投資初心者の期待とは、大きくズレていると感じました。

情報の見せ方にも“恣意的な構造”が潜む

戦略の紹介が「ランキング形式」のみに偏っており、しかもそのランキングは実際の選択画面にも反映されている。
つまり、ユーザーは直近の勝者だけを見せられ、その中から“好きな子を選んでね”という構造に誘導されることになります。

過去の成績の推移や、パフォーマンスの安定性、ドローダウンの情報など、判断に必要な材料が見えづらく、“たまたま勝ったストラテジー”を選ばされてしまう可能性が極めて高いと言えるでしょう。

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