年利12%の高配当ETF「QYLD」。
少額からでも買える、毎月分配がもらえる…そんな夢のような商品に惹かれて、私はサクソバンクで投資を始めようとしました。
ところが――
結果は、まさかの「何も買えずに254円損して終わり」。
ドル転? 手数料? CFD? 金利?
やってみて初めてわかる、「高配当ETF」と「サクソバンク取引」の意外な落とし穴。
この記事では、そんな私のちょっと間抜けな失敗体験を正直にさらけ出しながら、
同じミスを繰り返さないためのポイントを5ステップでわかりやすく解説します。
QYLDを買ってみたいと思っているあなた。
サクソバンクでETFやCFDに挑戦しようとしているあなた。
その前に、ぜひこの失敗談を読んでみてください。
ステップ1:サクソバンク証券に入金
カバード・コール戦略ETFのなかでも、最も分配金が大きいとされるQYLD。年利12%と聞けば、「これを5年持てば理論上は資産が倍増かも?」なんて夢も広がります。そんな期待を胸に、ついに私も手を出してみることにしました。
選んだ証券会社は、サクソバンク証券。QYLDならETFでもCFDでも購入できるということで、ここを選びました。
さっそくアカウントにログインし、入金手続きを開始。とりあえずお試しなので、5万円だけ入金してみました。入金はスムーズで、銀行口座からリアルタイムで反映されます。
意気揚々とQYLDを買おうとした瞬間、画面には「買い付け可能額 0.00 USD」の文字が…。
え、どうして? 5万円も入れたのに?

原因をよく調べてみると、どうやら円建てでは海外ETFは買えないらしいのです。つまり、事前に米ドルへ両替(いわゆるドル転)しておく必要があるということ。
「さすがは上級者向け証券会社、初心者には試練を与えてくるな…」と苦笑いしつつ、次のステップへと進むことになりました。
次回は、そのドル転でも試練が与えられるお話です。
ステップ2:ETF取引手数料という罠
「よし、ドルに両替すれば買えるんだな!」
そう思ってサクソバンクの取引画面を開き、円をドルに変える操作に進みます。手順自体はそれほど難しくなく、画面右下の「My profile(メニュー)」から「資金振替(取引口座間)」を選ぶだけです。

ここで表示されるレート「0.0069」という数字が、最初はまったく意味不明でした。調べてみると、これは「1円=何ドルか」を示す逆数表示のようです。もう少しわかりやすくしてほしいところです…。
さくさくとドル転を済ませ、ドル建て残高が反映されました。
「よし、これでQYLDが買えるぞ!」と意気揚々と再チャレンジ。
ところが、ここでも想定していなかったことに気づきました。
なんと、QYLDのETFを買うには、1.1ドルの取引手数料がかかるのです。
……高配当ETFをちょっとだけ買いたいだけなのに、なんでこんなにコストが重いの?

私が知らなかっただけなのですが、ETFは通常取引手数料がかかります。
ここでふと頭をよぎったのが、
サクソバンク証券のCFDは取引手数料ゼロ!

ということ。
「これだ!」と思った私は、ついにCFD口座への資金移動を決断します。
しかしこの判断は、さらなる試練(コスト)を呼び込むことに…。
ステップ3:為替手数料という罠
「ETFは手数料が高い。でもCFDなら取引手数料が無料!」
そう信じて、私はQYLDをETFではなくCFD(差金決済取引)で買うことにしました。サクソバンクならQYLDのCFDも取り扱っており、しかも売買手数料はゼロ円。これはもう、CFD一択だろうと。
さっそく、取引口座間の資金振替を使って、外国ETFを買う口座からCFD口座へ資金を移動します。ちなみに、これも手順としては簡単。画面の「資金振替」からサクッと移せます。
ふと気づくと、口座残高が「49,746円」になっている。

え? さっきまで5万円入れてたよね?
ドル円もほとんど動いてないのに、どこで減ったの?
原因は――
為替スプレッド(実質的な両替手数料)です。
サクソバンクの為替スプレッドは、片道0.25%。
円→ドル→円と往復したことで、合計約254円がスプレッドとして引かれていたのです。
ドル転時に片道0.25%(約125円)、その後すぐに円転でもう0.25%(さらに約125円)。
合計で約254円のスプレッドコストが発生し、それが残高からきっちり差し引かれていたというわけです。
いや、理屈としてはわかります。もちろん、これは完全に自分の操作ミスです。
でも、ETFを買うでもなく、ただ往復しただけで約250円が蒸発したこの現実…。
気を取り直してCFDの画面を開き、QYLDを検索。
「お、確かに手数料ゼロで取引できるぞ」と思ったそのとき――
最後の、そして最大の落とし穴が待ち構えていました。
ステップ4:高配当ETFのはずが、配当ゼロ? しかも金利8%?
「さあ、今度こそQYLDを買うぞ!」
CFD口座に資金も移した。手数料もゼロ。
ここまでたどり着くのに随分遠回りしたけど、ついに買える…そう思っていました。
QYLD(CFD)の取引画面を開くと、確かに買付手数料は無料と表示されています。

「やっぱCFDにして正解だったな」──そんなふうに思ったのも束の間。
ふと、あることが気になりました。
「ん? 分配金ってどうやって受け取るんだ?」
そう、QYLDの最大の魅力は月次で配当がもらえること。
高配当ETFといえば分配金あってこそ。
そこでサクソバンクのサポートページを調べてみたところ、衝撃の事実が判明します。
CFDでは分配金は受け取れません(ドン!)
そう、CFDは「差金決済取引」なので、インカム(=分配金)は原則発生しないのです。
CFDで得られるのは、あくまで価格の上昇・下落分のキャピタルゲイン/ロスのみ。
QYLDに分配が発生しても、CFDでは価格で調整されてしまいます。
「じゃあ、せめてホールドして寝かせておけば…」
と思ったのですが、さらにトドメを刺すような情報が目に飛び込んできます。
オーバーナイト金利:年率約8%(再ドン!)
そう、CFDではポジションを翌日に持ち越すと、金利(オーバーナイト金利)が発生します。
この金利が、なんと年率で約8%。

つまり、年利12%のETFを買うはずが、分配ゼロかつ8%の金利を支払うことになります。
当然、価格変動によるキャピタルゲインは発生するかもしれませんが、当初の年12%の高配当生活とは全く違うことになってしまいました。
そして心が折れた
「これは…もう無理。」
配当がない。金利だけ払う。
QYLDの魅力がことごとく消され、もはや投資する理由が見つからなくなってしまいました。
結局、CFDでのQYLD投資は諦めることに。
私の5万円は、往復の両替手数料で254円減り、何も買わずに残高49,746円となって帰ってきました。
投資の成果はゼロ。得たものは、サクソバンクの使い方と、ほろ苦い学びだけでした。
まとめ:この失敗から学んだ3つのこと
こうして私は、QYLDを買って高配当を得ようとして、最終的に254円だけ失うという経験をしました。
金額は小さいけれど、それ以上に大きかったのは、「高配当ETFなんて簡単だろう」と甘く見ていた自分の油断です。
そこで最後に、今回の失敗から学んだことを3つのポイントにまとめてみます。
① 為替コストは地味に重い
サクソバンクのような海外ETFに強い証券会社では、円→ドル→円の両替で片道0.25%のスプレッドがかかります。
「たいしたことない」と思っても、何度も両替すればどんどんコストが積み上がる。
国内のFX業者のような激安スプレッドを期待していると、痛い目を見ます。
② CFDは「配当」ではなく「値動き」で戦う商品
CFDはたしかに便利。手数料ゼロ、少額から取引可能、売りからも入れる。
でも、それはあくまで値動き(キャピタルゲイン)を狙う商品。
インカム(配当や分配金)を狙うなら、CFDではなくETFか投資信託が向いています。
特にQYLDのような「配当ありき」の商品では、CFDでは分配金がもらえず魅力が激減します。
③ 手数料ゼロに見えて、金利にやられる
「CFDは売買手数料がゼロ!」
確かにその通りですが、長期保有すればオーバーナイト金利がボディーブローのように効いてきます。
QYLD CFDでは、金利が年率8%近くかかります。国内CFD業者とは異なる手数料体系は複雑であり、事前に十分理解して投資しなければ、ただお金を失ってしまいます。
最後に:知ってから動こう
金融商品って、「買ってから気づく」のでは遅いんですよね。
実際にやってみて痛感しました。
でも、この記事を読んだあなたはラッキーです。
私の失敗を“疑似体験”して、回避できるチャンスがあるのですから。
これからQYLDに投資しようと思っている方、サクソバンクを使おうと思っている方の参考になれば幸いです。

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