もし最初に入れたお金を1年ほどで回収でき、その後は自分のお金を使わずにスワップ収入を得続けられるとしたら──投資家にとって非常に魅力的な仕組みといえるでしょう。
FXでは、高金利通貨を買って低金利通貨を売ることで「スワップポイント」と呼ばれる利息収入を毎日得ることができます。単純に高スワップ通貨に集中投資すれば短期間で元本回収も狙えますが、その一方で為替変動リスクによって大きな損失を抱える危険もあります。
そこで本記事では、複数の通貨ペアを組み合わせてリスクを抑える 「多通貨スワップ戦略」 を取り上げます。シミュレーションを通じて、どのようにすれば「1年で元本を回収しながら安定収益を目指せるのか」を、具体的なポジション例を交えながら解説していきます。
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多通貨スワップ戦略とは?FXスワップで元本を回収する仕組み
FXでは、高金利通貨を買って低金利通貨を売ることで、毎日「スワップポイント」と呼ばれる利息収入を得ることができます。メキシコペソ円やハンガリーフォリント円といった通貨ペアでは、1日あたり数百円〜数千円のスワップが入ることも珍しくありません。
「多通貨スワップ戦略」 とは、このスワップ収入を活用して投資元本を一定期間で回収し、その後は自分の資金を減らさずにスワップ収入を積み上げていくことを目指す手法です。
イメージとしては、最初に投資した資金が一定期間(例えば1年程度)でスワップ収入として手元に戻ってきて、なおポジションは維持されており、その後も収益が続いていくという流れです。
もちろん、為替レートの変動によるリスクがあるため、実際に「必ず元本回収できる」とは限りません。特に単一の高スワップ通貨に集中投資すると、途中で相場が逆行して大きな含み損を抱える可能性もあります。
そこで重要になるのが「通貨分散」です。複数の通貨を組み合わせてポジションを設計することで、スワップ収入を維持しつつ、為替変動リスクを抑えやすくなります。本記事では、この「多通貨スワップ戦略」を軸に、現実的かつ安定的に元本回収を目指す方法を紹介していきます。
理想的な多通貨スワップ戦略:1年で元本を回収するシナリオ
ここでは、まずシンプルなモデルケースとして「スワップ収入だけで1年以内に投資元本を回収できるか」を考えてみましょう。
たとえば、元本100万円を用意し、毎月8.3万円のスワップ収入が得られると仮定します。
すると、
- 1か月後:8.3万円の利益
- 6か月後:50万円の利益
- 12か月後:100万円の利益
この場合、ちょうど1年で元本100万円をすべて回収できる計算になります。
その時点で投資資金は手元に戻り、口座には依然として証拠金とポジションが残っているため、翌日以降もスワップ収入が積み上がっていく──これが「理想的な多通貨スワップ戦略」のシナリオです。
ただし、ここで示したのはあくまで為替変動を無視した「夢のモデルケース」です。現実には為替レートが下落し、評価損が膨らんで元本回収が予定どおりに進まない可能性もあります。
それでも、こうした理想モデルを出発点に設定することで、「どうすれば現実的に近づけるか?」「リスクを抑えながら元本回収を狙えるか?」といった次の議論につなげることができます。
FXスワップ投資の落とし穴:リターンとリスクのトレードオフ
前章で示した「1年で元本を回収できるポジション」ができれば理想でしょう。
しかし現実の相場は、そんなに甘くはありません。
FXのスワップ収入は確かに毎日コツコツ積み上がりますが、同時に為替レートの変動による損益も刻一刻と変動します。
例えば、メキシコペソ円を大量に買って1日数千円のスワップを得ていたとしても、ペソ円が1円下落しただけで数十万円の評価損が一瞬で発生します。
つまり、
- リターンを高めようとすればポジションを大きくする必要がある
- その一方で、ポジションを大きくすれば為替のブレによる損失リスクも跳ね上がる
という「リスクとリターンのトレードオフ」が避けられないのです。
特に単一の高スワップ通貨に全力投資する場合は、
- 短期的には「1年未満で元本回収できる」ほどのスピード感がある
- しかし同時に「途中で相場が逆行して大幅な損益が発生する」危険も大きい
という、まさに諸刃の剣になります。
このギャップをどう埋めるか?
ここでカギになるのが「分散効果」です。複数の通貨ペアを組み合わせることで、スワップ収入を維持しつつ為替リスクを小さく抑えることが可能になります。
分散投資で安定性を極めた多通貨スワップ戦略
安定したスワップポジションを現実的に作るためには、単一の高スワップ通貨に頼るのではなく、複数通貨を組み合わせる=多通貨分散投資が欠かせません。
単一通貨では為替の下落に振り回されやすいですが、複数通貨を組み合わせれば、収益の柱を維持しながら全体のブレを抑えることができます。
本章では、「1年間のスワップ収益が投資元本を上回る」という条件をまず設定し、その条件を満たすポジションの中で、リスク(評価損益のブレ)が最小となる組み合わせを求めました。その結果を元本50万円と100万円のケースで紹介します。
元本50万円の場合
設計方針
- 「1年間のスワップ収益 ≥ 元本50万円」という条件を課す
- その条件を満たすポジションの中で、リスク(評価損益のブレ)が最小となるように組み合わせを決定
- 結果として、
- ハンガリーフォリント円(HUF/JPY)を高スワップの柱として大量に買い
- ユーロ円(EUR/JPY)とポーランドズロチ円(PLN/JPY)を売りでヘッジ
- 補助的にドル円(USD/JPY)を少額買い
シミュレーション結果

このポジションの特徴を整理すると次の通りです。
- スワップ収入:1日あたり1,388円、年間で約50.6万円
- リターン:元本50万円に対して年率100%
- リスク:評価損益のブレ(標準偏差)は年間約14.4万円(年率31%)
- シャープレシオ:3.51(リターン÷リスク)
考察
高スワップ通貨を単独で買うよりも、条件を満たしつつリスクを抑えた「合理的な分散ポジション」を構築できました。
単一通貨では回収前に大きな損失を抱える可能性がありますが、この組み合わせなら大幅にリスクを抑えて、安定して「1年で元本回収」を実現できます
元本100万円の場合
設計方針
- 「1年間のスワップ収益 ≥ 元本100万円」という条件を課す
- その条件を満たす中でリスクを最小化するよう最適化
- 結果として、
- フォリント円(HUF/JPY)を上限の1,000万通貨買い
- チェココルナ円(CZK/JPY)を92万通貨買い
- ドル円(USD/JPY)を小額買い
- ユーロ円(EUR/JPY)とズロチ円(PLN/JPY)を売ってリスクを抑制
シミュレーション結果

- スワップ収入:1日あたり2,745円、年間で約100.1万円
- リターン:元本100万円に対して年率100%
- リスク:評価損益のブレ(標準偏差)は年間約32.5万円(年率33%)
- シャープレシオ:3.08
考察
こちらも「1年で元本を回収」という条件をクリアしつつ、リスク水準は33%程度に抑えられました。資金規模を倍にしてもリスク構造は大きく変わらず、安定した成果が得られています。
つまり、フォリント円を軸に複数通貨を組み合わせる戦略は、資金規模を拡大しても安定的に元本を回収できる合理的な方法といえます。
ポジション最適化の前提条件
ここで紹介した「多通貨スワップ戦略」は、次の前提に基づいたシミュレーション結果です。
- 元本回収の目標:投資元本を1年で全額回収(スワップ収益が元本以上)
- スワップポイント:2025年9月19日時点のGMOクリック証券の実績値を使用
- 対象通貨ペア:USD/JPY、EUR/JPY、ZAR/JPY、MXN/JPY、CZK/JPY、HUF/JPY、PLN/JPY
- リスク・相関の推定:2024年9月〜2025年8月の過去1年の日次データを使用
- パラメータの固定:スワップポイントやリスク・相関は1年間変化しないと仮定
- 取引コスト:考慮しない
トルコリラ円は減価傾向があり、扱いが難しいので除外してるよ♪
レバレッジは適度に調整してね♪
補足:スワップ水準とポジション設計
今回のシミュレーションは、GMOクリック証券が提供するハンガリーフォリント円の非常に高いスワップ水準を前提にしています。ただし、これは「GMOクリックでしか成立しない戦略」という意味ではありません。
むしろ大切なのは、自分が利用する業者のスワップ水準に合わせて、ポジションを最適化することです。業者ごとにスワップポイントは大きく異なるため、同じ「1年で元本回収」という目標でも、最適な通貨配分やヘッジ手段は変わってきます。
要するに、安定したスワップポジションを現実的に構築するには、
- 利用する業者のスワップポイントを確認し、
- その水準に基づいて「元本回収条件」を満たすポジションを組み、
- さらにリスクを最小化するよう調整する、
というステップが重要になります。
💡 実際にシミュレーションを試す前に、高スワップを受け取れる口座を用意しておくことも大切です。
今回のシナリオでも使った GMOクリック証券 は、主要通貨から新興国まで幅広く扱い、特にハンガリーフォリント円で業界トップクラスのスワップを提供しています。
直近のポジションについて
直近(2025年11月)のポジションについては、以下の記事を参考にしてください。
【2025年11月最新版】多通貨スワップ戦略の最適ポジションを更新!フォリント+リラで高スワップ&安定運用
単独通貨戦略vs多通貨スワップ戦略:リターン分布を比較
ここまでのシミュレーションで示したように、多通貨を組み合わせたポジションを取れば「1年間で元本を回収」という条件を満たしつつ、リスクを大幅に抑えることが可能です。
では、これを単独の高スワップ通貨で挑戦した場合と比べるとどうなるのでしょうか。
メキシコペソ円単独でのケース
例えばメキシコペソ円(MXN/JPY)のみで「1年で元本を回収」できるようポジションを組むと、スワップ収入は確かに十分確保できます。
- リターン:年率100%(1年で元本を回収)
- リスク:評価損益のブレは年率166%
数値を見るとわかるように、分散ポジションと同じリターンを得ても、リスクは5倍以上に跳ね上がってしまいます。
多通貨ポジションとの比較
下のグラフは、メキシコペソ円単独で「1年で元本回収」を狙った場合と、前章で作成した分散ポジションで同じ条件を満たした場合の1年後のリターン分布をシミュレーションしたものです(モンテカルロ法による10万回試行)。

赤色の分布(メキシコペソ単独)は大きく広がっており、
- 右側(プラス方向)に大きく伸びる → 莫大な利益が出る可能性もある
- 左側(マイナス方向)に大きく広がる → 元本を割り込んで破綻する確率もかなり高い
という、リスクとリターンが極端に共存する形になっています。
一方、青色の分布(分散ポジション)は中央にギュッと収束しており、
- 100%ライン(元本回収)を安定的に達成
- マイナス方向に大きくはみ出す確率が小さい
という特徴を持っています。
同じ「1年で元本回収」を目指していても、
- メキシコペソ単独:博打的、成功すれば爆益、失敗すれば破綻
- 分散ポジション:堅実に、安定して元本を回収可能
と、投資スタイルの違いがはっきりと現れます。
まとめ:多通貨スワップ戦略のポイントと注意点
本記事では「多通貨スワップ戦略」という考え方をもとに、FXスワップ収入を活用して 1年間で投資元本を回収するシナリオ をシミュレーションしてみました。
多通貨スワップ戦略とは、スワップ収益で投資元本を回収し、その後は自分のお金を使わずにスワップが積み上がっていく仕組みのことです。ちょっと夢のような話ですが、実際に数字を入れてみると、意外と現実味があることがわかります。
ただし、高スワップ通貨を単独で買うと「一気に元本回収できそう!」という魅力はあるものの、為替が逆に動けばあっさり元本を失ってしまうリスクも大きくなります。今回のシミュレーションでも、メキシコペソ円単独は大きな利益も狙える反面、破綻リスクが高いという結果になりました。
一方で、複数通貨を組み合わせた分散ポジションなら、同じ「1年で元本回収」という条件を満たしながらもリスクを大幅に抑えることができました。ここで大事なのは「1年間のスワップ収益が元本以上になる」という条件を最初に置いて、そのうえでリスクが最小になるようにポジションを設計したという点です。単なる高スワップ狙いではなく、合理的にリスク管理を組み込んだスワップポジションが作れる、というのが今回のメッセージです。
注意点
現実にこの戦略を適用するには注意が必要です。スワップ水準は各社で大きく異なり、また日々変動するため、シミュレーションどおりに進む保証はありません。
特に今回の結果はGMOクリック証券のハンガリーフォリント円スワップが異常に高いことを前提にしています。自分が利用する業者のスワップ水準に合わせてポジションを設計することです。さらに、為替変動によって元本回収が遅れる可能性や、取引コストの存在も忘れてはいけません。
多通貨スワップ戦略を行うGMOクリック証券の口座開設が必要
多通貨スワップ戦略ができるかどうかは、業者選びで決まります。
GMOクリック証券は、今回の検証でも見たとおり「フォリント円スワップの高さ」で他社を圧倒。
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