FX業者って、どうしてあんなにスプレッドが狭いのに儲かるの?
スワップも高いし、なんか怪しくない?
……と感じたことがある方、この記事は必見です。
本記事では、FX業者が利益を得る仕組みを「スプレッド」「呑み」「スワップ差」という3つの視点から分解し、業者選びに役立つ知識としてお届けします。
裏のカラクリがわかれば、あなたの戦略も変わるかもしれません。
FX業者の主な収益源はこの3つ
FX取引をしていると、「このFX業者って、いったいどうやって儲けているんだろう?」と思ったことはありませんか?
為替相場の値動きは日々激しく、個人投資家にとっては収益が不安定な世界。それにもかかわらず、FX業者はというと、毎月のように安定した収益を上げ続けています。
実際、下図は「みんなのFX(トレイダーズ証券)」の営業収益の推移を表したものですが、四半期で損失になることなどなく、安定的に推移していることがわかります。

このような安定収益を支えているのが、FX業者の持つ3つの収益源です。
FX業者の三大収益源
FX業者のビジネスモデルは、次の3つの要素によって成り立っています:
- スプレッド:買値と売値の差
- 顧客の損失(いわゆる“呑み”):顧客の負け=業者の利益となる構造
- スワップポイントの差:金利差を利用した利ざや収益
この3つをうまく組み合わせることで、業者はリスクを抑えながら、毎日の膨大な取引からコンスタントな収益を得ているのです。
「スプレッドなんて0.2銭しかないのに、それで本当に儲かるの?」と思うかもしれません。しかし、たとえば1万通貨の取引で0.2銭なら20円の利益になります。これが数万、数十万の取引単位で毎日繰り返されれば、業者にとっては十分な収益となります。
個人投資家が「今月は勝った」「今週は負けた」と一喜一憂する一方で、FX業者はこのような仕組みによって、毎月安定して利益を積み上げているのです。
そして、重要なのは——業者によってこの3つのどこに重点を置いているかが違う、ということ。
この違いを見抜くことで、投資家側も自分の戦略に合った業者を選びやすくなります。
スプレッド収益|実は“マリー取引”でリスクゼロ
FX業者の最も基本的な収益源、それがスプレッド(買値と売値の差)です。たとえば、米ドル/円のスプレッドが「0.2銭」と表示されていれば、1万通貨の売買で業者は20円の収益を得ることになります。
しかし、ここで気になるのが「じゃあ、業者はこのスプレッドをどうやって“確実に”自分の利益にしているのか?」という点です。
カバー取引をすると損が出る?
多くの人は、「FX業者は取引があるたびに、外部の銀行などとカバー取引(反対売買)をしてリスクをヘッジしている」と思っているかもしれません。
ところが実際は、外部にカバーに出すと、むしろ損失になるケースが多いのです。
なぜなら、業者が提示しているスプレッド(たとえば0.2銭)は、銀行間取引などの実際のスプレッドよりもはるかに狭いためです。
下図は銀行間取引のスプレッド(ちょっと古い)の推移ですが、スプレッドは2銭弱とFX業者のスプレッドよりもはるかに広く、カバーに出すと0.2銭の収益は簡単に吹き飛ぶ計算になります。

外部に出すとその差分で赤字になる。だから、FX業者は安易にカバー取引を行わないのです。
秘密兵器:マリー取引とは?
そこで登場するのがマリー取引という手法です。
これは、顧客の「買い」と「売り」の注文を社内で相殺して処理する方法。たとえば、ある顧客がドルを買い、別の顧客が同時にドルを売れば、その2つをFX業者の中で相殺してしまえばよいのです。
これにより、業者は為替リスクを一切負わず、スプレッドだけを“ノーリスク”で収益化できるというわけです。
米ドル/円のように取引量が圧倒的に多く、売買注文がほぼ均衡しやすい通貨ペアでは、このマリー取引が非常に効果的に機能します。
マリーできない通貨ペアはどうなる?
一方で、トルコリラ円や南アフリカランド円のように、顧客のポジションが極端に偏りやすい通貨ペアでは、マリー取引は困難になります。
多くの顧客が「買い」ばかりしている通貨では、売り注文が少ないため相殺できません。
そのため、FX業者はこのような通貨ペアにおいてはスプレッドを広めに設定し、必要に応じて外部にカバー取引を行うなどして、リスクと収益のバランスを取っているのです。
スプレッド=業者の安定収益の柱
このように、スプレッドという一見小さな収益源も、大量の取引とマリー処理の技術によって、FX業者にとっては重要な安定収益の柱となっています。
そして、スプレッドを極限まで狭くできる業者ほど、この“社内マッチング力”=マリー能力が高いと見ていいでしょう。
呑み(ノミ)行為|顧客の損失=業者の利益
FX業者がマリー取引で処理しきれない注文や、ポジションの偏りが大きい場合、次の選択肢が生まれます。
それが、「呑む」=カバー取引をせずに自社でポジションを引き受けるという行為です。
聞き慣れないかもしれませんが、これはFX業界では古くから存在する手法で、少しグレーにも思えるこの“呑み行為”こそが、もう一つの大きな収益源となっているのです。
呑むとはどういうことか?
本来、FX業者は顧客からの注文をカバー先(銀行など)に流して市場リスクを回避する仕組みを取りますが、その分コストがかかります。
ところが、売買の注文バランスが偏ったとき、たとえばドル/円の「買い」注文ばかりが集中した場合、FX業者はその分の逆の「売り」ポジションを自社で引き受ける(=呑む)ことがあります。
ポジションを抱えることによってマリー取引による収益化を待つことができますし、もしその買いポジションが含み損になれば、顧客が損をし、FX業者が利益を得る構造になります。
逆に、顧客が大きな利益を上げれば、業者側は損失を抱えることになりますが、実際には…
呑めば儲かる?顧客の勝率の現実
多くの個人投資家は、中長期的に見て継続的な収益を出すのが難しいのが実情です。
そのため、FX業者にとっては「呑んでいれば自然と儲かる」ことが少なくありません。
事実、かつてあるFX業者(※刺激的な映像関連企業が母体)では、設立初期に金融機関との取引口座が開けず、すべての顧客ポジションを呑んでいた時期がありました。結果、顧客の損失がそのまま収益となり、短期間で大きな利益をあげたという逸話もあるほどです。
永遠に呑み続けられるわけではない
もちろん、FX業者も無限に呑み続けるわけにはいきません。為替レートが逆方向に大きく動けば、自社が大きな損失を被るリスクもあります。
そこで多くの業者は、あらかじめ「呑める上限」を設定し、それを超えた部分については外部にカバー取引を出す仕組みにしています。
さらに、「この顧客は勝つ可能性が高い」と判断されると、その人の注文だけを常にカバーに出すといった高度な選別管理も行われています。
呑み=悪か?むしろ、スプレッドの源泉かもしれない
「顧客の損失が業者の利益になる」という構造を聞くと、つい「不公平では?」と感じてしまうかもしれません。
しかし実は、この“呑み”という仕組みがあるからこそ、私たちは銀行間よりもはるかに狭いスプレッドで取引できているという事実があります。
FX業者は、すべての取引を銀行などのカバー先に出していたのでは、0.2銭といった極小スプレッドは絶対に維持できません。
そのため、売買が偏っているときでも一定のポジションを呑んでリスクを取ることで、収益を確保しつつ、顧客には有利な価格を提示しているのです。
つまり、呑み行為は「顧客から搾取する仕組み」ではなく、狭いスプレッドと高い約定力を維持するためのリスク管理技術のひとつとも言えます。
もちろん、すべてを呑んでいたのでは業者側のリスクが膨らみすぎるため、実際には一定のルールのもとで「呑む/カバーする」のバランスをとって運用されています。
スワップポイント差|見えにくい“利ざや”構造
FX業者の収益源として見落とされがちなのが、スワップポイントです。
スプレッドのように目に見える差ではありませんが、実はこのスワップにも、業者の“抜きどころ”=利ざや収益が隠されています。
スワップポイントとは?
スワップポイントとは、異なる2つの通貨間の金利差によって発生する受け渡しのこと。
ポジションを日をまたいで保有した場合、その通貨の金利差に応じて、金利を受け取ったり支払ったりすることになります。
たとえば米ドル/円では、ドル金利>円金利であるため、ドル買い(=ロング)ポジションを保有するとスワップをもらえる構造になります。
顧客の売り買いバランスで“抜ける”
業者にとって収益となるのは、売りと買いのポジションが社内で均衡している場合です。
たとえば、1万通貨の買いと売りの注文がそれぞれ存在すれば、スワップの受け渡しは社内で相殺されます。
そのうえで、買い側に16.2円を支払い、売り側からは19.2円を受け取るという設計にすれば、差額の3円が業者の収益となるわけです。
実際、下のGMO外貨のポジション比率を見ると、ドル円・ユーロ円などの主要通貨ペアでは、買いと売りのバランスが取れており、社内でスワップが相殺されやすい状況が見て取れます。

また、スワップポイントの実例として、以下はヒロセ通商が提示している2025年7月17日の米ドル/円・ユーロ/円のスワップ表です。
たとえば米ドル/円では、買いポジションに16.2円を払い、売りポジションからは19.2円を徴収しており、ピッタリ3円の利ざやがあるのがわかります。

このように、スワップポイント自体を“スプレッド化”して収益を得るのが、業者にとっての安定的かつ巧妙なビジネスモデルのひとつです。
金融機関からの「中抜き」もある
では、社内で完全に相殺できなかったポジションはどうするのでしょうか?
その場合、業者はカバー先の金融機関にポジションを回します。
たとえば、米ドル/円の買いポジションを金融機関で運用して得たスワップ収益から、一部を顧客に還元し、残りを収益として取る(=中抜き)という形が一般的です。
顧客の目には見えませんが、このスワップの“中間利ざや”も業者にとって非常に安定的な収益源となっています。
スワップ競争の副作用:逆ザヤリスク
近年、メキシコペソ円やトルコリラ円といった高金利通貨ペアでは、業者間のスワップ競争が激化しています。
この競争により、一部の業者では金融機関からの受取スワップ以上の額を顧客に支払う“逆ザヤ”状態に陥っているケースもあります。
では、なぜそんな“赤字営業”のようなことを?
それは、高スワップをアピールして新規顧客を集め、スプレッドや呑み収益で回収するという戦略をとっているからです。
一種の「広告費」のようなものと考えれば、納得がいくかもしれません。
スワップは「高ければ正義」ではない
スワップポイントが高いからといって、それがそのまま“お得”とは限りません。
背後には、逆ザヤ・中抜き・呑みといった業者の戦略が組み込まれているからです。
大切なのは、スワップポイントがどのように提示され、どこで利益を抜かれているのかという構造を理解すること。
業者によっては、極端に高いスワップの裏で、他の部分でしっかり利益を取っていることもあります。
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➡️FXのスワップポイントはどう決まる? 仕組み・業者差・カラクリを徹底解説
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業者の戦略パターンと、あなたに合った業者の見つけ方
ここまで見てきたように、FX業者は主に以下の3つの収益源を組み合わせて利益を上げています:
- スプレッド:売値と買値の差
- 呑み(顧客の損失):一部ポジションを社内で引き受けて利益化
- スワップポイント差:受取と支払の利ざや
ただし、すべてを完璧にやるのは現実的ではありません。
そのため、多くの業者はこの3つのうちどこかに特化し、自社の“勝ち筋”を作ろうとしています。
よくある業者の戦略タイプ
✅ タイプ①:スプレッド特化型
- 特徴:極小スプレッドを前面に出す
- 戦略:マリー処理の精度を高めて手数料勝負
✅ タイプ②:スワップ特化型
- 特徴:ペソ円やトルコリラ円で業界最高水準のスワップを提示
- 戦略:高スワップで集客し、呑みやスプレッドで回収
✅ タイプ③:初心者囲い込み型(収益源のバランス型)
- 特徴:CMが派手。スプレッド・スワップは“そこそこ”
- 戦略:初心者を取り込み、手数料全体で薄く広く利益を得る
業者は「変わる」もの
ここで注意しておきたいのは、業者は方針を変えることがあるという点です。
- 昔はスワップ重視だったのに、今はスプレッド重視に
- 以前は高スワップだったのに、最近は“逆ザヤ”を回避して大幅ダウン
こうした「方針転換」は突然起きます。
そのため、過去の印象に引きずられず、常に最新の条件をチェックする姿勢が大切です。
あなたに合った業者を選ぶには?
FX業者選びで失敗しないためには、自分の投資スタイルに合った収益モデルを選ぶことが重要です。
- スキャルピング・短期売買 → スプレッド重視型の業者を
- 高金利通貨でスワップ狙い → スワップ特化型の業者を
- 初心者で少額から始めたい → サポートやUIが丁寧な総合バランス型を
そして何より、「なぜこのスプレッド・スワップが提供できるのか?」という裏側を理解している投資家ほど、損しにくいのです。
✅ まとめ:収益構造を知ることが、最大の武器になる
FX業者は、単に「安い」「高い」で比較すべきものではありません。
彼らがどのように収益を上げているかを知ることで、その提示条件の“裏”を読むことができます。
そして、その構造を理解して業者を選んでいる投資家こそが、本当の意味での勝ち組に近づいていくのです。
✨FX業者の“仕組み”まで知って選ぶなら──
今回ご紹介したように、FX業者はそれぞれ異なる収益モデルを持っています。
その裏側まで理解したうえで選ぶなら、スプレッド・スワップ・約定力のバランスが取れた業者が安心です。
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