為替市場が大きく動くFOMCや米雇用統計。スワップ投資家にとっては「ポジションを減らした方がいいのでは?」と不安になりやすいイベントです。
しかし、最新の研究は驚くべき事実を示しています。スワップ投資の利益の大部分は、実はこうしたイベント日にこそ集中しているのです。
この記事では、「FOMC前にポジションを減らすべきか?」というスワップ投資家の永遠の悩みに答えるべく、学術研究とデータをもとに検証していきます。
スワップ投資のリスクとリターンの仕組みをより深く知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。:
スワップ投資の敵は為替変動?イベント前に不安になる理由
FXのスワップ投資の最大の目的は、為替差益を狙うことではなく、毎日安定的にスワップポイントを受け取ることです。為替レートの上下に一喜一憂するよりも、金利差に基づく確実な収益をコツコツ積み上げていくことに重きを置きます。
もちろん、保有している高金利通貨が値上がりすれば利益は大きくなります。しかし現実には、市場が荒れる局面では高金利通貨ほど売られやすいという特徴があり、一時的に含み損を抱えてしまうことも珍しくありません。
このため、スワップ投資にとって「為替の急変動」はまさに天敵です。特にFOMCや米国の雇用統計といった定期的なビッグイベントは市場を大きく揺らし、不安から「ポジションを減らした方がいいのでは」と感じてしまう投資家も少なくないでしょう。
そこで本記事では、スワップ投資家はFOMCや米雇用統計の前にポジションを縮小すべきなのか?
最新の研究成果をもとに検証していきます。
FOMCとは?スワップ投資家が避けて通れない最重要イベント
スワップ投資家が特に気にするイベントのひとつがFOMC(米連邦公開市場委員会)です。FOMCはアメリカの中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が年8回開催する会合で、ここで政策金利や金融政策の方針が決定されます。
米国の「利上げ」や「利下げ」といった政策金利の変更は、世界中の金融市場に大きな影響を与えます。特に為替市場では、金利差の変化がそのまま通貨の需給に直結するため、FOMCは最重要イベントのひとつといえるでしょう。
また、FOMCだけでなく米国の雇用統計やCPI(消費者物価指数)といった主要な経済指標も、市場のボラティリティを一気に高める要因となります。こうしたイベントを前にすると、
「高金利通貨が急落したらどうしよう…」
と不安になり、ポジションを減らす誘惑に駆られるのも自然な心理です。
GMO外貨の経済指標カレンダーでも、米国の重要指標は赤字+星3つで表示されます。投資家が「結果次第で大きな損失になるかもしれない」と不安に感じるのも、決して不思議ではありません。

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研究で判明!FOMC当日はスワップ投資の“稼ぎ時”だった
「FOMCや雇用統計の前にはポジションを減らした方が安全では?」と思う投資家は少なくありません。たしかにイベント時は高金利通貨が売られやすく、短期的には下落に巻き込まれるリスクがあります。
しかし、実証研究の結果は逆の事実を示しています。スワップ収益の大部分は、FOMCや主要経済指標の発表日に集中しているのです。発表前にポジションを減らしてしまうと、本来得られるはずの利益を逃す可能性が高まります。
ここで紹介する「キャリートレード」は、高金利通貨を買って低金利通貨を売るスワップ投資と同じ考え方です。ただし、分析対象となる通貨ペアは一部異なる点に注意してください。
下の図は、その研究結果を示したものです。ここでポイントとなるのは、線の色です。
- 青線(TC = traditional carry)と緑線(SC = static carry):いわゆる「キャリートレード」の成績で、スワップ投資家が見るべきライン。
- 黒線(DOL = ドルポートフォリオ):ドル全体の動きを示す指標で、参考程度に。
- 赤紫線(DC = dollar carry):ドルを売って他通貨を買う戦略で、一般的なスワップ投資家とは少し異なるポジションです。
図1:FOMC発表日のスワップ投資のリターン推移

FOMC当日(縦の黒い点線が発表時刻14:15ET)を見ると、青線・緑線のスワップ投資(キャリートレード)が発表前からリターンを積み上げているのがわかります。
あわせて、黒線=ドル指数の大幅な上昇も目立ちます。
図2:米マクロ経済指標発表日のスワップ投資のリターン推移

雇用統計やCPIなどの経済指標発表日も同様に、青線・緑線のスワップ投資(キャリートレード)が大きなリターンを稼ぐ日となっています。
図3:それ以外の日(FOMCも米経済指標の発表もない日)

一方、それ以外の日(FOMCも米経済指標の発表もない日)を見ると、こうした顕著な稼ぎ時は見られません。
さらに驚くべきは、FOMCや米主要経済指標が発表される日は全営業日のわずか15%に過ぎないのに、スワップ投資の利益の約3分の2がこれらの日に集中しているという点です。
つまり――FOMCや雇用統計の前にこそ、ポジションを減らすのではなく維持するのが賢明なのです。
結論:FOMCや雇用統計はスワップ投資家の味方になる
スワップ投資家にとって、FOMCや米国の主要経済指標の発表は「大荒れのリスク」として敬遠されがちです。確かに短期的には高金利通貨が売られる局面もあります。
しかし、学術的な研究が示すのは、むしろスワップ収益の大部分はこれらのイベント日に集中しているという事実です。発表前にポジションを減らしてしまうのは、せっかくの「稼ぎ時」を自ら逃す行為になりかねません。
結論として、スワップ投資家にとってFOMCや雇用統計は恐れるべきイベントではなく、むしろ安定した収益を支えてくれる味方となる日だといえるでしょう。
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