「CFDは短期投資向き」「長期では使えない」——そんな言葉、聞いたことありませんか?
でも、それって本当に“投資家のため”のアドバイスなのでしょうか?
実はその裏にあるのは、CFD業者の本音とビジネス構造。
本記事では、ある業者の公式コラムを題材に、その表と裏を読み解きながら“CFDの使い方”を再考してみます。
はじめに:CFD=短期、って誰が決めた?
CFDを調べていると「CFDは短期向け」「長期投資には向きません」といった情報をよく目にします。
とあるCFD業者も、公式サイトのコラムで、こんな説明をしていました:
「CFDでナスダック100を投資する場合、長期投資には向いていません。必要な証拠金のモニタリングが必要で、CFDの利点を活かせない」
たしかに、説明自体は理にかなっています。 でも、私たち投資家はこう考えたいのです。
それって本当に「投資家のための勧告」? それとも「業者側の都合」も含まれてる?
本記事は、その背景を業者の構造や利益モデルに置きなおして考察してみようという内容です。
とあるCFD業者の説明ポイント
このコラムには、長期投資に向かない理由として以下が挙げられていました:
- CFDは証拠金取引なので、長期で保有するなら証拠金残をこまめにチェックする必要がある
- 長期で持つ場合、レバレッジ(少ない資金で大きく投資)というCFDの魅力が使えない。
たしかに、これらは「レバレッジを使った短期で得を出しましょう」というCFDのメリットを前提にした説明です。
たしかにその通りに見えますが……
業者側の本音を見逃さない
ここでは、投資家にはあまり見えない「業者の事情」をのぞいてみましょう。
【理由1】長く持たれると儲からない
CFD業者の主な収益は、売値と買値の差=「スプレッド」です。 さらに、業者は多くの場合、実際に先物市場で毎回カバーをしているわけではなく、顧客同士の売りと買いをマッチング(マリー)させることで収益をあげています。
つまり、顧客の取引が短期間でたくさんあればあるほど、業者内でマッチングしやすくなり、実際のカバー取引を減らしてコストを抑えつつスプレッドを稼げるのです。
このため、短期トレードをしてくれる顧客が多いほど、業者にとっては理想的。 短期トレードなら、1回の取引ごとにスプレッドが発生して業者が儲かります。
でも、私たちがポジションを長く持ってしまうと…?
「スプレッド収益は最初の1回だけ」→ その後はずっと“持たれている”だけで収益ゼロ
さらにレバレッジも低く設定されるとロスカットにひっかかることもなくなるので、業者は全く儲からない状態になります。
【理由2】カバー先にずっと証拠金が必要
そして、顧客が長期でポジションを保有してマッチングが難しくなると、業者は実際に先物市場などでリスクをヘッジ(カバー取引)する必要が出てきます。
ここで問題になるのが、そのヘッジを維持するために業者自身が証券会社や取引所に証拠金を預け続けなければならないこと。
投資家がポジションをずっと持つ = 業者もお金をずっと預けたまま
特に相場が荒れる時期や連休前には、業者の資金がカチコチに固まってしまうのです。証券会社や取引所への証拠金は、円だったり米ドルだったりしますが金利など不利な条件で大量の資金を運用する羽目になります。
結論:誰のための“長期NG”かを見極めよう
とあるCFD業者の説明は、一見すると合理的です。 でもその裏には、「投資家のため」というよりも、業者のリスクやコスト構造を軽くしたいという思惑が見え隠れしています。
だからこそ、投資家としてはこう考えたい:
長期投資が「ダメ」なのではなく、 「業者からすると、あまり歓迎されない」というだけ
相場や商品に応じて、CFDをどう使うかは自分で判断する。その視点を持つことが、CFDを本当の意味で活用する第一歩になるのです。
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