スワップ投資の主軸はいまも対円、つまりトルコリラ円やメキシコペソ円が中心です。
一方、これまで本サイトでは相関の高い通貨ペアを使ってヘッジをかけ、スワップを“おいしくいただきつつ”リスクを抑える方法を紹介してきました。
たとえば、トルコリラ円に対してドル円でヘッジする手法や、ハンガリーフォリント円に対してユーロ円でヘッジする手法です。
👉 詳しくは以下の記事でも解説しています。
- 米ドル/トルコリラのスワップ投資|GMOクリック証券で合成再現する方法と利回り比較
- 【年利17%も?】ハンガリーフォリントのスワップが熱い!GMOクリックの狂気のスワップ!
- FXスワップ投資は買う通貨だけじゃない!売り通貨を工夫して安定運用を目指そう!
しかし、最近の急激な円安環境では、
「ドル円をしっかりヘッジしているせいで、ぜんぜん資産が増えない…」
そんな不満や不安の声が増えてきています。
トルコリラ円にドル円ショートを組み合わせて“リラドル化”すると、たしかに値動きは安定します。
ですが、その安定の裏側で、円安のごほうびはほぼ消えてしまいます。
この記事では、そのジレンマを少しゆるめるために、
「ポートフォリオ・インシュアランス(PI)」という考え方をFXに応用してみます。
あらかじめ“ここまでは減ってもいい”というフロアを決めておき、
資産が増えたらトルコリラ円の比率を増やし、減ってきたらドル円ヘッジを厚くする――
そんなシンプルで合理的な仕組みです。
数式も出てきますが、伝えたいことはただひとつ。
「儲かったら攻め、減ったら守る――そんな当たり前の感覚を、FXでもやっていいんです。」
円安が続く今こそ考えたい、スワップ投資の「守り方」
どんどん円安が進んでいます。
かつては「永遠に下落する通貨」と称されたトルコリラ円でさえ、いまや上昇トレンドに乗っています。
下のチャートは、ここ1か月のトルコリラ円の動きです。

ご覧の通り、円安方向に動いており、トルコリラ円がこれほど堅調に推移するのは珍しい状況です。
背景には、ドル円を中心とした強い円安トレンドがあります。円が売られれば、ドルだけでなくトルコリラなど他の通貨に対しても「円安効果」で押し上げられることになります。
トルコリラ円のスワップ投資では、しばしばドル円の売りを組み合わせてポジションを組みます。
これにより、トルコリラ円=(トルコリラ/ドル)×(ドル/円)のうち、「ドル/円」部分を消してトルコリラ/ドルのポジションに変えることができます。
この構成は非常に安定的で、為替変動による影響を抑えながら、スワップポイントを着実に積み上げることができるのが魅力です。
しかしこの手法には、ひとつの欠点があります。
それは、円安の恩恵を受けられないことです。
ドル円を売っているため、円安が進むとドル円の損失がリラ円の利益を打ち消してしまうのです。
このように「ヘッジで守る」と「円安で増やす」はトレードオフの関係にあります。
とはいえ、円安を完全に無視して守り一辺倒にするのももったいない。
どうにかして“守りを残しながら円安の恩恵を受ける”ことはできないか――。
そこで今回注目したのが、ポートフォリオ・インシュアランス(Portfolio Insurance, 以下PI)という考え方です。
PIとは、資産について「これ以上は失いたくない」という下限(フロア)をあらかじめ決めておき、その範囲内でリスク資産と安全資産の比率を調整する運用手法です。
これをスワップ投資に応用すれば、ドル円のヘッジにより安定したスワップを得ながら、円安の波にある程度乗ることができるかもしれません。
トルコリラ円×ドル円ヘッジの仕組みと円安で起こるジレンマ
トルコリラ円のスワップ投資では、ドル円の売りポジションを組み合わせることがあります。
これは、トルコリラ円(=トルコリラ/ドル × ドル/円)のうち、「ドル/円」の部分を相殺して、トルコリラ/ドルの値動きに変換する狙いです。
こうすることで、円の影響を減らし、ポジション全体の値動きを安定させることができます。
実際の相場を見てみましょう。下のチャートは、トルコリラ円(青)とトルコリラ/ドル(赤)の推移を比較したものです。

トルコリラ/ドル(赤)は、この数か月ほぼ一貫して下落しています。
リラがドルに対して弱い状況が続いていることが分かります。
一方、トルコリラ円(青)は途中から大きく上昇しており、円の弱さ(=円安トレンド)がリラ円を押し上げていることが読み取れます。
リラ円にドル円の売りを組み合わせると、実質的にはトルコリラ/ドルのポジションを保有することになります。
値動きのブレが抑えられるため、チャート上ではやや下落基調に見えますが、実際の運用成績では高水準のスワップ収益が為替変動を上回っており、安定したプラス収益が得られています。
この点は誤解されやすい部分で、「リラドルが下がっている=損している」というわけではありません。
スワップ収益を含めると、むしろ安定して資産を積み上げることができます。
つまり、ドル円をヘッジに使うことで、為替の上下に一喜一憂しない“スワップ中心の安定運用”が実現します。
ただし、安定と引き換えに、円安による評価益はほぼ打ち消されてしまいます。
ドル円が上昇すると、リラ円が上がってもドル円ショートが損失を出すため、全体ではプラスになりにくい構造です。
この構造を整理すると次のようになります。
| 状況 | トルコリラ円 | ドル円ショート | 合計効果 |
|---|---|---|---|
| 円安 | 上昇 | 損失 | ほぼゼロ(恩恵なし) |
| 円高 | 下落 | 利益 | 安定(守りが効く) |
つまり、ドル円ヘッジ戦略は「守り」には優れていますが、「円安を取りに行く攻め」には弱い。
そこで次章では、この守りを保ったまま円安の恩恵を取り込むための方法として、ポートフォリオ・インシュアランスという考え方を導入します。
ポートフォリオ・インシュアランスとは?FXに応用できる理由
ポートフォリオ・インシュアランス(PI)は、資産の減少を防ぎながら相場の上昇にも乗ることを目的とした運用手法です。
FXに置き換えると、「トルコリラ円の買い」と「ドル円の売り(ヘッジ)」を相場の状況に応じて調整していく考え方になります。
PIではまず、「これ以上は減らしたくない資産の下限(フロア)」を決めます。
たとえば、初期資産100万円のうち、どうしても守りたい金額を80万円と設定するイメージです。
このとき残りの20万円が“攻めに使える余裕”になります。
トルコリラ比率の求め方(直感的バージョン)
この式は、「フロアをどれだけ上回っているか」に応じてトルコリラ円の比率を決めるものです。
たとえば、
- 資産がフロアを少し上回る程度ならトルコリラ円比率を低めに(守り重視)
- 十分に資産が増えているならトルコリラ円比率を高めに(攻め重視)
といった形で、資産額に応じて自動で攻守を切り替えることができます。
このとき、トルコリラ円の比率が高いほどドル円のショート(ヘッジ)比率は小さくなります。
つまり、円安で資産が増えればリスクを取り、円高で資産が減れば守りを厚くする――
自然に“円安で攻め、円高で守る”構造が作れるのです。
PIを使ったスワップ投資の調整ルール|リスクを自動でコントロール
ここまでで説明したように、ポートフォリオ・インシュアランス(PI)の考え方を使えば、トルコリラ円とドル円ショートの比率を「資産の増減に応じて」自動的に調整することができます。
では、実際にどのような設定で使えるのかを見てみましょう。
💡 設定例
- 初期資産 V:100万円
- フロア(守りたい資金)F:80万円
- マルチプライヤー(攻めの強さ)m:2
この場合、20万円が「攻めに使える資金(クッション)」になります。
資産が増えれば攻めの割合(トルコリラ円の比率)を高め、資産が減ればヘッジ(ドル円ショート)の割合を増やして守る、という仕組みです。
💬 マルチプライヤー(m)は「どれだけ攻めたいか」を表すパラメータ
値を大きくするとリスク資産(トルコリラ円)の比率が早く増え、円安局面で積極的にリターンを取りに行きます。
小さくすると守り重視になり、資産変動に対してポジションが穏やかに変化します。
✨TRY比率とヘッジ比率の決まり方
PIの仕組みをFXで表すと、トルコリラ円の比率(=攻めの度合い)は次のように決まります。

そして、ドル円ショートの比率(=守りの度合い)は:
ヘッジ比率=1−TRY比率
たとえば、資産 V が100万円、フロア Fが80万円、マルチプライヤー m=2の場合:
TRY比率 = 2×(100−80)÷100 = 40%
つまり、このときはトルコリラ円40%、ドル円ショート60%という構成になります。
📈 資産の変化に応じたポジション例
| 口座資産 (V) | TRY比率 | ドル円ショート比率 | コメント |
|---|---|---|---|
| 130万円 | 77% | 23% | 円安で資産増 → 攻めを強化 |
| 100万円 | 40% | 60% | 通常時 → バランス運用 |
| 90万円 | 22% | 78% | 円高気味 → 守りを厚く |
| 80万円 | 0% | 100% | フロア到達 → 完全防衛モード |
このように、スワップ収益や円安により資産が増えるとトルコリラ円の比率が上がり、円安の波にしっかり乗れるポジションになります。
逆に円高により資産が減ると、トルコリラ円の比率が下がってドル円ショートが増え、自動的に防御が強化される仕組みです。
⚙️ 実際の運用イメージ
エクセルなどでこの数式を入れておけば、日々の資産評価額 V を入力するだけで、トルコリラ円とドル円ヘッジのバランスを自動で計算できます。
トルコリラのスワップ収益が増えれば資産も増えるため、自然とトルコリラ円の比率が高まり“円安を取りに行く姿勢”が強まります。
一方で、円高局面ではトルコリラ円の比率が下がり、リスクを取る部分が自動的に縮小するため、人間の感情に左右されない「攻守バランス型スワップ運用」が可能になります。
今回はトルコリラ円とドル円で試したけど、ハンガリーフォリント円とユーロ円でもできるよ。要は、相関が高い通貨ペアの組み合わせです♪
考察とまとめ:守りながら円安も狙うスワップ運用へ
ポートフォリオ・インシュアランス(PI)をトルコリラ円のスワップ投資に応用すると、これまでトレードオフ関係にあった「安定性」と「円安の恩恵」を両立できる可能性が見えてきます。
通常、ドル円で完全にヘッジしてしまうと円の影響は小さくなりますが、その分、円安による資産増加のチャンスを逃してしまいます。
PIの仕組みを使えば、円安局面ではトルコリラ円の比率を高め、円高局面ではヘッジを厚くして守りに入る――
市場の流れに合わせて“動くヘッジ比率”を持つポートフォリオが作れるわけです。
💡 この手法のメリット
- 自動的にリスク調整ができる
円安・円高に応じてトルコリラ円とドル円ヘッジの比率が変わるため、
相場を読まずにリスクを制御できる。 - スワップ収益を活かしつつドローダウンを抑えられる
スワップで増えた分をフロア上乗せに活用すれば、
徐々に“守りのライン”が上がっていく。 - 感情に左右されない運用
相場に一喜一憂せず、
“ルール通りに攻め守りを切り替える”ことができる。
⚠️ 注意すべき点
- ヘッジの調整は現実的な運用ルールが必要
理論上は連続的に変化しますが、実際の取引では
「ドル円の売りをどこに置くか」「どのタイミングで見直すか」など、
現実的な設計が欠かせません。 - マルチプライヤー(m)の設定がすべてを決める
mを大きくしすぎると反応が過敏になり、
円安からの反転局面でポジションが過大になるリスクがあります。
一方でmが小さすぎると、守り一辺倒になって機会損失が増えます。 - フロアは「目安」であって絶対防御ではない
急変動やスプレッド拡大時には一時的に下回る可能性があるため、
余裕をもった証拠金設計が前提になります。 - トルコリラ/ドルが安全なわけではない
安全資産としてトルコリラ/ドルを仮定していますが、
ご存じの通りリラ円よりは相対的に安定という程度です。
🔍 まとめ ― 守りながら円安もね。
スワップ投資というと通貨ペアや配分などを固定して考えがちです。
PIのようなリスクコントロールを組み込めば、より柔軟で戦略的な“攻守一体の運用”が可能になります。
リスクを抑えつつ円安も狙いたい!
そんな欲張りな運用が、これからのスワップ投資の新しいかたちかもしれません。
💼 実際に試すなら ― GMOクリック証券がおすすめ
今回紹介したように、トルコリラ円とドル円のヘッジを組み合わせた運用では、
スワップの水準が安定していて、注文設定(指値・逆指値)が柔軟にできるFX業者が向いています。
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